もともと農家になったら、いちごを作りたいと考えていました。しかし調べていくうちに、いちごの専作農家でやっていくためには、ビニールハウスだけでも10aあたり数千万円必要となることがわかってきました。ただのサラリーマンである私からすると、この莫大に思える初期投資はできるわけがないと思ったのが正直な感想です。
農場経営シミュレーションゲームとは違う
もともと私は農場経営シミュレーションゲームが結構好きで、よくやっていました。当初、このようにはじめは初期投資の低い露地でできる作物を作って売っていき、資金をある程度ためてからビニールハウスで高設栽培するいちごに切り替えていこうと考えました。しかし、この考えはリスクが高いのではないかということが、先日の役場での就農相談の時に気づかされました。
役場の方に「本当はいちごが一番作りたいが、はじめは初期投資が低く、所得率の高いナスや周年栽培でほうれん草を作り、まずは安定的な農業を目指していきたい」と伝えました。しかし、以下の問題点があることが話の中で見えてきました。
・普段の生活で消費される野菜と嗜好品で高級な果物では購入ターゲットが変わってくるので、販路も分けて考えていくことになる
・それぞれの農作物で栽培技術が違っており、特にいちごのような高い技術のいる農作物に後から切り替えるのは容易ではない
・苗八作といわれるように、いちごは苗づくりが大事で、作物全体の7割の時間はいちごに割く必要がある
今回の相談会でも、これだけの大変さがあることを学ぶことができました。
おわり
……ではなくて、まだ何も始まっていない今のうちにいろいろ試行錯誤することが大事です。すでに農場経営は始まっているのです。この期間は農場経営の「計画」の部分のシュミレーションをしているということになるのではないでしょうか。
とういうことで、もう少し深堀して考えてみたいと思います。
深掘りして考える
1つ目の「野菜と嗜好品的果物では購入ターゲットが違う」ですが、実は購入ターゲットだけではなく「生産者」側も大きく変わってきます。例えば、わたしの住む地域の水田は水はけがナスの栽培に適しているようで、兼業農家の方や家庭菜園の方も立派なナスを作ることができ、直売所などで販売します。夏になると直売所は、需要を超える量のナスであふれかえり、売れ残ってしまうことがあるようです。そうなると、利益をどうしても無視できない専業農家のナスのほうが値段が高価になりがちで、売れ行きが悪いということになってしまうそうです。それに対し、高品質のいちごを作るのは容易でないため、いちごの場合は生産者が限られてくるということになります。実際は様々な要因によって違ってくるのかもしれませんが、販路を持たない新規就農者の場合、このような問題に直面する可能性は高いのかもしれません。
2つ目の「いちごは高度な技術が必要」ですが、就農後は自身の生活を守りながら失敗しない農場経営に努めなくてはなりません。そのため、あとからいちごを生産したいと思ったとしても、出荷できるレベルのいちごを作るためには高度な技術と高価なビニールハウスが必要となり、経験不足による失敗のリスクが高くなります。一方で、いちご農家での研修や雇用就農でいちごの栽培技術をしっかり学び、その後、独立就農することでリスクは減ると考えます。さらに、いちご農家や雇用就農時の失敗は個人的なリスクがないため、トライ&エラーの経験も踏まえてしっかりと学ぶことができます。また、学んだ技術も実践しなければ時間とともに廃れてきますし、いちごの栽培技術を学んだ研修先や雇用就農先から必要な資材や販路のサポートが得られる可能性がありますし、つながりを維持できるという点からも、そのまま「いちご農家」として独立就農することがベストであると考えます。
3つ目の「いちご作りは時間を割く」ですが、役所の方の話では、いちご農家の方は専作が多いとのことです。出荷シーズンには1人農家の場合、午前2時におきて収穫やパッケージングなどをし、午前9時、10時の納品に間に合わせるとのことです。また、苗づくり(培地づくりも含めて)が重要なため、収穫シーズン以外も時間を費やすそうです。
中には、いちごとミニトマトを生産している農家の方もいるそうで、年間を通してかなり忙しくされているそうです。その場合、土壌障害が発生したりするため、夏の暑い期間はビニールハウス内に水をため、30日ほど太陽熱殺菌・消毒を行うといった作業もするそうです。
1人農家の場合、経験が少ないうちはいちご専作で技術を高めていくこと、それ以外の時間は販路を開拓していくことに費やすのが標準になってくるのかなぁと思いました。販路を見つけることは重要で、いくらいいものを作ったとしても、需要がなければせっかく作った農作物が無駄になってしまいます。
…とまあ色々と考えてみたのですが、まだ実際に農家の方の話を聞けていない状況なので、今後のインターンシップや研修で新たな考えが出てくるかと思います。農場経営はすでに始まっていると意識しながら考えていきたいと思います!頑張ります!
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